
Herbal Styleは「自然からの贈り物で、地域をプロデュース」をテーマに、農業から加工、販売までを一貫して行うブランドだ。
代表の宮澤知子さんは、コロナ渦の休業をきっかけに、耕作放棄地や獣害問題など、地域が抱える課題を目の当たりにした。
「私たちが農業することで、何か地域の課題が解決できるのではないか」
その想いから、ハーブ事業を開始。2023年に、株式会社Herbal Styleを設立した。
宮澤さんは、自然の持つ力を強く信じている。
「自然は嘘をつかない。ハーブって、足がなくて動けなくても、それでも生き抜こうとする力があるんです」
人もまた、自然から遠ざかるほど不調を抱えていく。だからこそ、自然の力を暮らしの中に取り戻したいと考えている。
Herbal Styleという名前には「植物のように踏まれても立ち上がる」。そんな、逆境に強い生き方への想いが込められている。

自分を信じて生きる
「自分らしく生きられる場所や、自分の価値観でつくれるものを、自分の手で選んでいきたいと思ったんです」
宮澤さんは、幼い頃から「自分で決める」という感覚を強く持っていたという。
3歳頃から、塾や習い事など、日々多くのことに取り組んでいた。しかし、中学生の頃、一度その糸が切れる。
「人の価値観の中で生きていると、いいことにならないって思ったんです」
将来はピアノの道へ進みたいと思った。しかし、経済的な事情など、自分だけではどうにもならない現実にも直面した。
「自分の思い通りにならないことってあるんだなって。その時に、人の価値観や環境の中で人生が決まっていく感覚がすごく嫌だったんです」
大学卒業後は、周囲の反対を押し切り、銀行の内定を辞退してアパレル業界へ進む。
結果を求めて働く日々の中で、同じ志を持っていた友人たちが、若くして病気になり、亡くなっていく姿も目の当たりにした。
「華やかに見えても、自然から遠ざかるほど、人って病気になるんだなって感じたんです」
そこから、食事、アロマ、ハーブについて一気に学び始める。そして辿り着いたのが、「自然は嘘をつかない」という感覚だった。

「ハーブって裏切らないんですよ。ちゃんと応えてくれる」
その後、また周囲の反対を押し切り、アロマの路面店を開業する。
「どうせ勉強するなら、事業にしないと意味がないと思っていました。中途半端が苦手なんです」
個人事業主という働き方にも、迷いはなかった。
「自分一人の意思で、どうにでもなる。その感覚があったので、借金を背負うことも、あまり怖くなかったんです」
苦しいことや困難なことから逃げず、あえてその先へ進む。
その姿勢の根底には、「大人の背中を見て、子どもは育つ」という想いがある。
「誰かがやりがいや生き様を見せることで、周りの人も頑張れると思うんです」
自分を信じて選び続けること。その積み重ねが、今の宮澤さんの生き方につながっている。

地域とともに生き、未来へ繋ぐ
Herbal Styleの特徴は、農業だけでは終わらないことだ。栽培、加工、販売までを自社で一貫して行う、6次産業という形を取っている。
ハーブ業界では、海外産の原料を使うケースも多い。一方で、ハーブ園を持っていても商品開発まで行うところは少ないという。
「だったら、全部自分たちでやろうと思ったんです」
専門職としてセラピーやアロマを学んだ人が、農業まで行うケースは珍しい。
しかし宮澤さんは、植物を育てるところから、人に届けるところまで、一貫して向き合う必要があると考えている。
「この環境を残さないと、次の世代に地域を残していけないと思ったんです」
地域とともに生きること。自然とともに生きること。その両方が、Herbal Styleの根底に流れている。

植物本来の力を守る
Herbal Styleのものづくりは、できる限り自然の状態を崩さないことを大切にしている。使用するのは、ハイブリッド種ではなく、原生の種。毎年、自ら種をつなぎながら育てる。
農薬や肥料も使わない。
「植物って、本来ストレスがある環境の中で、自分を守る成分を出すんです」
宮澤さんは、その“フィトケミカル”こそが、植物本来の力だと考えている。
栽培も、自然のリズムに合わせて行う。四季の中で育ったものを収穫し、年間を通して使えるように加工する。一方で、LEDを使った24時間栽培のように、人為的に成長をコントロールすることはしない。
「自然は嘘をつかないと思っているので」
加工工程でも、乾燥以外は機械化せず、香料やフレーバーなどの添加物も一切加えない。ハーブは、一つひとつ手摘みで収穫する。見た目の美しさや繊細な状態は、人の手でなければ守れない部分があるからだ。

また、Herbal Styleでは、単体ではなく“ブレンド”にも強いこだわりを持っている。
「ハーブって、組み合わせることで全然違う力を発揮するんです」
香りや味わいだけでなく、それぞれの役割や相性まで踏まえながら設計していく。これまで培ってきた経験と知識。その両方を重ね合わせながらつくられるレシピは、Herbal Styleならではのものだ。
自然の力を、人の都合で変えすぎないこと。その上で、本来の魅力を最大限引き出して届けること。
その姿勢が、Herbal Styleのものづくりの核になっている。











